中堅サイト運営の心得。

 Web上で公開されるサイトはUpされる事で「批評」や「格付け」をされる事があります。
弱小、中堅、大手、、マイナー、メジャー、定番、新鋭、etc……色んな言葉で他のサイトと比較されます。
人はどうしてそんなに「他人」の評価が気になるのか。気になるか、ならないかで言えば恐らくは気になる人の方が
多いでしょう。故にカウンターを設置したり、アクセス解析で動向をチェックしたり、
掲示板(BBS)を置いて、訪問者の方々とコミュニケーションをはかってみたり…
サイトの宣伝をしたり、相互リンクで交流してみたり、色んな方法で他人に「認められたい」のです。

 しかし自分では頑張った、精一杯やったと思った所でそれを評価してくれるのは「他人」です。
今回はサイト運営6周年を記念して、自称中堅サイト管理人の私、疾葵(はやき)が過去の実績と経験から
「6年間」のサイト運営について振り返ると共に、今後の課題を今一度自分に戒める為、書き記したいと思います。
(補足:個人が運営するサイトを対象。また複数人によるサイト運営を想定していません。)

――中堅サイトの定義とは

 一口に“中堅サイト”と言っても定義はあいまいです。賛否両論あるかと思いますが、
私的に該当すると思う幾つかの条件(?)を出してみました。

・一日のアクセス数が平均で75ヒットぐらいある。(50〜100)
・累計で50000ヒットを突破した。
・サイトを公開、運営してから3年以上経過している。

・ヤフーなどの著明な検索エンジンに申請すると掲載して貰えるレベル。
・運営している分野での認知度が高く、また一目置かれたりする。
・「お気に入り(ブックマーク)」からのアクセスやリピーター(再訪問者)が来る。
・サイトに関する感想や意見をメールや掲示板などで貰う。
・気がつけばリンクされたり、紹介されていた。
・雑誌に掲載、紹介された。
・同一ジャンルの特集を組んで貰った時に(雑誌や著明な検索エンジンで)紹介される事がある。

 ……とまぁ色々ピックアップしてみました。私が重視するのは上の三つです。後の条件については
複雑な要素が絡み合うと思うので、そんなに重要視したり気にする事ではなく、「付加価値的」なモノと
思えばいいのではないでしょうか。運営するジャンルや形態によってはユーザーが何を望んでいるか、
その時時によって変わりますからね。コミュニティサイトで意見交換が頻繁にされていないというのであれば
それはサイトの格付け以前に利用者がいない、寂れているサイトという認識になってしまう訳ですから。

 一日当たりのアクセス数については色んな意見があるかと思います。ジャンルではなく平均的な数値で見た場合に
「50〜100」前後あればまあまあの出来、その中間の「75ヒット」を維持出来れば、上出来ではないでしょうか。
んでそのペースで推移するなら50000ヒット到達までおよそ2年近くかかる計算になります。
一つの目安である「アクセス数」が「50000ヒット」あればジャンルはどうあれ「中堅」の地位は固いのではないでしょうか。

 サイトを公開、運営してから「3年以上」というのも一つの目安になるかと思います。中にはいわゆる定番、大手と言われる
有名サイトで、開設して余り日も経過せずに爆発的なアクセス数(一日1000ヒット以上)の得るサイトもあるでしょう。
細々と運営していたのに、ある日著名なメディアで紹介されたり、特集されたとか。サイトを開設してみたらユーザーの望む
情報にマッチして、そのままヒットしてしまったなどなど。当ればでかいのは魅力の一つでもありますね。
ただ、短期間で爆発的にアクセス数が伸びた、稼いだサイトというのはある日突然衰退する可能性も含んでいる訳です。

 偶発的に当っただけで、ある日を境目にアクセス数が下落するとか。影響力のあるメディア、サイトで
紹介された場合ですね。それを羽根に階段を登り詰める事が出来ればいわゆる「大手サイト」の仲間入りなのかもしれません。
時事や流行という飽きられやすい、目移りしやすい内容を取り扱う場合はその傾向が強いので慢心は禁物です。
 このコラムでの「中堅」を定義付けるならば、アクセス数は一定数を保持し、サイト運営もまとまり、落ち着きがある。
コンテンツの量、質もそこそこあり、ある一定の期間サイトを運営、保持した「実績」を残したサイト。
そしてその一つの目安として「三年」だと私的には思うのです。

――サイトを「作る」ということ

 サイトを作る事は何もない「無」の状態から「小宇宙」を作る事だと私は思います。
言うなれば自分の、自分だけの世界を作る、作品発表の場ともいえるのです。
作ると言えばまるで楽しそうに聞こえるかも知れません。しかしサイトを「作る」だけなら誰にでも出来ます。
サイトを公開し、内容を更新し、新しいコンテンツを追加する。時には既存コンテンツの見直しを図り、
テコ入れ(修正と改善)を行い、サイトを発展させていく。これがサイト運営の基本です。
勿論そこにいたるまでにHTML(タグ)を覚えるだとか、ソフトを使って更新するなどの工程が入る訳ですが。

 人によってはサイトを更新するのに有料の「エディター」や「グラフィックソフト」といったソフトを購入して使ったり、
また基本サービスだけでは満足出来ずにオプションや有料ホスティングサービスに手を出す人がいるかもしれません。
いわばサイト運営というのは「経営」や「マネージメント」に携わる事でもあるのだと言えます。一国の主であり、
家長であり、社長である。自分の贔屓(ひいき)のクラブを運営しているような感じに似た部分があるのかも知れません。
勿論実際に会社を運営している訳ではありませんし、規模によってはサイト運営にそれ程費用もかかりません。
また、趣味で作品発表、サイト運営をしているのであって、赤字でも構わないという人、広告が嫌いだから
有料サーバーにしているのであって、稼ごうとか一山当ててやろうという考えはないという人も存在します。

 しかしサイトを作り、運営するということは簡単な事ではありません。Webの発信には責任が生まれます。
嫉妬や葛藤(かっとう)などの醜い争いもあります。時に誹謗中傷があったり、身内にばれる事もあるかもしれません。
これらは運営者側に落ち度がある場合もありますし、外的要因の場合もあります。とにかく生半可なものではないんです。
向上心や強い意欲、また奉仕的、献身的な思考、リスクマネージメントなどの管理、備えなしにサイト運営を
する事は途中で挫折してしまい、長続きしない要因にもなりかねません。
「誰が為に。何の為にサイト運営をするのか」
 自分の為か、他人の為か。他人に見てもらいたい、注目されたいからサイト運営をするのか。はたまた自分が楽しい、
愉しむ為にサイト運営をするのか。もしくはボランティアなどの支援活動の一環としてのサイト運営なのか。

 サイトを開設する理由は色んな理由があると思います。目立ちたい、ビックになりたいという考えもあれば
ただ自分の考えや日記を日々発信するだけで満足という考え方も。サイト運営が楽しいか苦痛かは人によって
捉え方が違いますが、以前は気軽に情報発信するのは困難でした。WWW(ウェブ)が発展し、個人でもサイトを
もてるようになり、気軽に情報発信出来るようになった。自分の考え、自分の意見を自由に言えるのって
凄いです。そして素晴らしいです。面倒事が何も起こらなければですけど。

――Web(サイト)における発言、発信の自由と責任

 個人で運営し、管理されているサイトはいわば自分が君主です。だから何をしてもいいし、
好き勝手ふるまってもいい。……法律に触れない範囲でですが。発言は自由ですが、その発言には責任が伴います。
嘘の書き込みをして信用を低下させたりすると名誉毀損罪になりますし、暴言を吐くと侮辱罪になるかもしれません。
……という今更なレベルの話はまた違う次元の話なので置いといて。

 人の目に触れる可能性がある掲示板、日記、コラム、レビューといった読み物系のコンテンツは公開するに
当って幾つか注意しておかないといけません。Webでの公開は手帳に書いている日記と違い、責任が発生します。
まぁ誹謗中傷しない、喧嘩口調で語らない、わざわざ寝る子を起す事はしないのは基本の基本ですが。
アーティストやゲーム、映画の批評といったものはその意見に対してのバッシング、批判的意見がよせられる事も
あります。そういった事を踏まえて書くべきだし、また批難、批判が怖い人は公開するべきではないでしょう。
ただ批判も行き過ぎた場合には単なる暴言でしかありません。暴言は行き過ぎると名誉毀損や侮辱罪になります。
批評だけならまだしも、運営してる人や第三者の人格否定をするとか、悪口を言うとか。

 ファンと呼ばれる方達は妄信的に物事を見る傾向が強いです。批判的意見にはすぐ反論をしてきます。
でもその反論に具体的な意見や主張が無い場合は荒らしとみなされても文句は言えません。後これみよがしに
叩きたいだけのアンチによる批難や批評を浴びせる人もいます。こういった相手はあんまり相手にしない方が得策です。
そんな訳で私は出来る限り盲目的にならないよう、客観的に書くように努力しています。努力はしています。
んでも好きなゲームやメーカーさんに対しては贔屓目で見てしまう事がどうしてもあるのですが……。
バランスを取って頑張っています。中立的に物事を見るように微力を尽くしています。
うーん、嫉まれないようになるのは難しいです。よかれと思ってやった事が他人にとっておせっかいであるように。
人間の持つ猜疑心の一つなので。この項は中堅サイトを運営するという点ではあまり関係がないかもしれません。
そもそも「ネチケット」なんて言葉の前に人として大切な「何か」がおろそかにされていますから。

――中堅サイトにおける妥当なアクセス数について

 中堅サイトの定義の項でも軽く触れたアクセス数について、ここでは掘り下げてみます。一日当たりのアクセス数は
幾らぐらいが妥当なのか。そもそも一日三桁(100以上)ないと中堅とは認めないって考えの人もいるでしょう。
ジャンルによりけりのの部分もあるかと思います。例えば掲示板(フォーラム)やチャットなどのコミュニティ系の
場合は一日300人ぐらいのアクセスは無いと「書き込み」や「発言」も少ないでしょうし。また小説や論文といった
余り人の目に触れにくいジャンルのコンテンツは一日当たり50人も見ていれば上出来という考え方もあるでしょう。
 Webでの情報発信がまだ活発で無かった昔と比べ、インターネット人口が増え、個人で運営するサイトが爆発的に
増えた今となってはアクセス数を稼ぐのは中々骨が折れる作業です。人と同じ事をしているようではアクセス数は伸びない。
大手になりたい人は、必死に新しいネタを探してます。中堅を目指す人はネタをありがたく拝借するといいんですが。
一日当たりのアクセスが増えてきて、サイト更新が目的になるという悩みも出てきます。また内容の更新が
ままならず、既存の情報の見直しや、運営の保守だけで手一杯になってしまったら本末転倒だと思うので。
個人的にはひっそりと、コツコツと自分のペースでサイト運営出来るぐらいのアクセス数が妥当なのだと思っています。
んでその数値は下限を「65」とし、上限は「150」から「200」ぐらいが一番まったりとサイト運営が出来るものなのでは。
……そんな風にある程度自分の意思通りに数値がコントロール出来れば、これ以上ない幸せなんですが。


2005.1.31(執筆中)
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