BACKフランス料理のコース説明

Apéritif(アペリティフ)
食前酒。食事前にこれからの料理に向けて軽く胃を刺激させるのと
後述のアミューズグールの消化を助ける為。
基本的な事はイタリア料理編を参照して頂くとして、フランスの代表的なカクテル他食前酒を
幾つか説明する。フランスの食前酒といえばまずキールであろう。
白ワインとクレーム・ド・カシス(黒すぐりのリキュール)を割ったもので、とても有名なカクテル。
これを白ワインの変わりにシャンパンで割った物がキール・ロワイヤルで、ロワイヤル=ロイヤルという事で
高級感が漂う。勿論それ相当の値段も付いてしまう。(前者\500〜800、後者\800〜1300)
またシャンパンをストレートで飲んだり…シャンパンを柑橘系で割ってミモザやベリーニにしたり…
ここまでくるとイタリアもフランスも変わらない気がする。他にはアルコール酒精強化ワインに当るマデイラ酒、
ボルト酒、シェリー酒や、カクテルだとマティーニやマンハッタン等が上げられる。
まぁベースとしてはスティル(非発泡性)、スパーリングス(発泡性)等が多い。
他には混成ワインやアルコール酒精強化ワイン等々…
くれぐれも料理前からお酒に溺れる事が綯いにしたいものだ。

・amuse-gueule(アミューズグール)
酒肴。(おつまみ)フランスではここからかなり力を入れている感がある。昼夜問わず素材に力を入れ、
後の料理に期待を持たせる。(生ハム含む)ハムに魚や野菜を巻いてオリーブ油に付けてあるものが最近の傾向だ。
イタリア同様、フランスでもアミューズグールで酒を飲ませようとして稼ぐ寸法だ(^^;コース料理だと大体何も言わずに
出てくる事が多い。(値段によるが)
とはいえ後のオードブルも控えているので一口で終わってしまうものが殆ど。あくまで酒の肴と言う事である。
他にはオリーブ(の実)、ポテトチップス、チーズの角切り、ナッツ類などがある。

・hors-d'œuvre(オードブル)
前菜。hors=〜の外に、œuvre=作品であるという意味があり、作品外=料理外のという意味で解釈している。
昔はおつまみとされ、コースの中には入っていなかったものの、今では最初の一皿目として重要な役割を持つ。
オードブルの役割は後の料理に期待を持たせるものであり決してこの時点で食欲をそそらせるに留めるものである。
満足はさせてもいいが、腹一杯にしてはいけない。また興味を持たせる為、味付けや香辛料をきかせてアクセントをつける、
彩りを考えるといった事が必要だ。現在の主流として3〜4品で構成されるコースに置いてオードブルにもある程度のボリュ
ームが望まれている。そこでメインの肉や魚等を量を少なくして、こじんまりと盛りつける(キャビア等を外してみる)事でバ
リエーションが増える。ただしどんな料理にも度を越えるとバランスが崩れるので見極めが大切である。

オードフルには冷たいオードブル(hors-d'œuvre froids)と温かいオードブル(hors-d'œuvre chauds)がある。
冷たいオードブルの代表作として前もって作って置けるもの、(テリーヌ、パテ、魚のマリネ、野菜のマリネ)
完成品、(ハム、生ハム、ソーセージ、スモーク・サーモン)盛りつけるだけ、調理の簡単なものとしてサラダ、卵料理、
生がき(季節のみ)等がある。一方温かい前菜として仕込んでおいて暖め直すもの、パイ生地のバリエーション、温製サラダ、
卵料理等がある。イタリア編でも書いたが、温かい前菜は全体的に見て手が込むので少ない。これは徐々にメインにいくに
つれて厨房が忙しくなるシステムの為、この時点でバタバタしているとメインを出す所でなくなってしまうからである。
よって後述のスープと共に温かいオードブルは衰弱の兆しがある。一方で生温かいサラダがはやっているのが最新の流行
で、温かい肉or魚に冷たいサラダ、温かいソースをかけて食べるのが舌に微妙な触感や興味をもたらすと言う事ではやり
がある。また冬に限っていえば温かいサラダを出しても何の問題も無いと思う。要は季節感が大事なのであり、
夏は冷たく冬は温かくの心理に基づき作ればいいだけの事である。